仕返ししようとしてる間に人生は終わってしまう。

中谷英貴です。

 「復讐なんて馬鹿のすることだ」
 1973年の映画スティングの1シーンです。
 「人生は怒りに包まれるにはあまりに短い」
 アメリカンヒストリーの1シーンのセリフ(だったような…)。
 
 古今東西、映画に限らず様々な作品でそう伝えられてきた怒り。
 
 怒りは感情で、湧いてくる感情にいちいち責任を持っても仕方ありません。感情の無視ほど怖いものはない。
 だから、胸の内でしっかり感じ取り、そして怒りに関してはできる限り取り扱いに注意しましょう。間違ってもそのまま外に放出しないように。

 夫(妻)へ、上司や同僚へ、隣人へ、時には電車やバスでたまたま居合わせた人や、道路上で非礼を受けた車へ、怒りをぶつけようと仕返しを企む人がいます。

 以前、東名を走っていたときのことです。
 すぐ手前のバンがさらにその前にワゴンを追い越そうとしているのが見えました。ワゴンはふらりふらりと左右に揺れて、後ろのバンは追い越すことができません。二車線あってそんな運転なのだから、余ほどの事情でもない限り、ワゴンは恣意的にそうしているようにも見えます。

 危ないなあと思って、かなり距離をとって走っていたのですが、驚いたことが起こりました。
 後ろを走っていたバンが隙を見てワゴンの前に出たと思ったら、ワゴンの鼻先に車を寄せて停止し、ワゴンをも停止させてしまったのです。バンの運転席からおじさんらしき人が出てきて…と、いうところ横に差し掛かったので、そそくさと追い抜きました。バックミラーにおじさんが車に戻るところが見えたので、そのまま放置しましたが、正直私の心はドキドキしていました。
 とても嫌な場面でしたが、類は友を呼ぶというべきか、何かが呼応してそんな風になってしまったようにも思えます。

 長く一緒にいる家族や職場の中の人間関係でそういった軋轢が起こり、怒りに任せて仕返しを企てると、ろくなことがありません。距離が近いほど、必ず返り血では済まないダメージを自分にも被ります。
 やりたい人はやればいいけれど、その企ての時の感情が自分の心や体をいたぶる炎となって体内に燃え盛っていることを忘れないでください。
 あくまで一部の、と表現させていただきますが、ガンや他の生活習慣病的な症状の中には、そんなところに起因することもあると思います。

 相手を変えようとするのは、百害あって一利なし。
 人生にこれほど無駄な時間はありません。
 自分のことに注力しましょう。
 
 お読みいただきありがとうございました。