それじゃ確かに苦しいな

中谷英貴です。

 気に入らないことは、誰にでもありますよね。
 気に入らないことが、
 どのくらいの規模か、
 どのくらいの頻度か、
 どのくらいの心の中を支配しているかは、
 人それぞれだと思うけど。

 子供の頃、居間ではいつも
 父が荒いため息をついていて、
 それが過ぎると
 母や私たちに当たりだしました。
 今思いだしても、
 家の中の空気が嫌な具合に張り詰めていました。
 一番権力を持っている人の八つ当たりは、
 文字通りの意味を超えてしまって、
 その集まり自体を破壊することがあるし、
 原家族は残念ながら
 その流れのままに進んでしまいました。

 後年、私自身が
 生きづらさを抱え、
 行き詰って、
 どうにも苦しくて
 仕方がない状態になって、
 その時の父の状況を良く思い出していました。
 いろんなことが絶望的に見えて、
 未来も真っ暗で、
 何かわからないけれど、
 哀しくて腹立たしくて仕方がなかった。

 何がおかしいんだろう。
 感覚が狂っているのかな。
 そう悩んでさえいました。
 自分が変なのかなと。

 ある時、ふと感じました。
 その状態は当たり前だ、と。

 理由はどうあれ、
 自分の感じ方、
 モノの見方、
 立ち居振る舞い、
 生き方の一つ一つ、そのどれもが
 苦しんで、
 悲しんで、
 怒って
 当たり前の世界と
 シンクロするようにしていたのだから。

 自分でその世界を作って、
 自分でその世界で苦しんで、
 でもその世界は自分以外の人たちによって作られて、
 自分はその中に強制的に
 存在させられていると思い込んでいる。

 それじゃ確かに苦しいかもしれない。

 お読みいただきありがとうございました。