成長・変化の前に知っておきたいこと

中谷英貴です。

 成長、変化。
 
 日常がどうにもうまく回らず、
 あるいは、自分以外の何かのせいにできない時に、
 変わりたいと切に願うときに、
 自らの成長、変化を切望します。

 成長とか変化という言葉を聞いてイメージすること。

 のぼること、
 上がること、
 良くなること、
 上に行くこと、

 抽象的な言葉で表現すれば、
 そんなことではないでしょうか。

 そして、気分が落ち込んでいたりするときには
 なかなか受け付けない言葉。

 自分の土台が崩れかけて、
 あるいは完全に崩れていて、
 支柱となるような幹も芯も感じられず、
 ひたすら自信を喪失し続けているような時期に
 これらの言葉だけを聞かされるということ自体で
 ますます落ち込んでしまう経験を
 私は昔、何度もしたことがあります。

 それはそうでしょう。

 ひたすら下に向けて落下を続ける感覚に
 日々、どころか毎瞬とらわれていている時に、、
 上にいくのだ、
 と言われたところで、
 それは正直、力尽きかけている人に向けて、
 そんな状態にない人が
 とっとと走れと言っているように
 聞こえてしまうと思うのです。

 成長、変化とは、自分が変わる“加速度”のことです。
 変わるスピードのことでもなければ、
 世間から見た絶対座標が
 上か下かという問題ではありません。

 落ち込み、抑うつ的になり、自分を見失い続け、
 果てしなく落ちていく感覚にある人にとっての
 成長、変化とは、
 落ちる速度が鈍ること、緩やかになること、
 それにつきます。
 間違っても、いきなり突然上に向けて
 上り始めることではないのです。

 少しずつでいいのです。
 すこしずつでいいから、
 今ある状態からさらに落ち込まないように、
 自分を蔑む癖を控え、
 怒りや妬みを減らし、
 良質な食事と十分な睡眠をとり、
 周囲の言動に一喜一憂することなく、
 目の前にあることを一つ一つこなし、
 夜が来たらゆっくりと休む。

 そんな生活を繰り返していると、
 自分とのつながり、
 周囲とのつながりに
 変化が生じます。
 その時には、
 際限のない落下感という落ち込みの感覚は
 明らかに減っているか、
 あるいはなくなっているはずです。
 それは立派な自己成長でしょう。 

 ともすれば、
 上に行くこと、
 それも大きく飛び上がることを
 無意識のうちにどこかでイメージしてしまうと、
 大切な成長・変化を本当に必要な人ほど、
 受け入れることに萎えてしまう。

 そんなことを少しでも減らすことができれば。
 そう思いました。

 お読みいただきありがとうございました。