やりたいことはすぐにはわからないもの、ということにしてみる


中谷英貴です。

 子供の頃、何かをやって楽しかったという記憶がある人は少なくないと思います。
 お絵描き、テレビ、料理、ダンス、ハイキング、将棋、天文、サッカー…。
 好きになるのに理由はなくて、気が付いたら始めていて、気が付いたら好きになっている。そんな感じだったと思います。

 社会に出て、何とかまともな暮らしを求めて働きだしたはいいけれど、どうにも今の暮らし、生き方、仕事が行き詰ったと感じた人が、それは好きなことをしていないからだよ、好きなことをすればいいんだよ、と言われて、そうか、自分は好きなことをすればよくなるのか、と思って行動を始めます。
 そしてすぐ、
 はて、自分の好きなことって何だったかな、
 だいたい、好きなことだけでいいのかな、
 お金は後からついてくると言ってたけど保証はないよな、
 もっと世の中のためになることの方がいいのかも、
 でもとりあえず思いついたことを試してみたりして、
 そういったことを、何度か繰り返して、
 やっぱりないなー、と心が折れそうになってしまう。
 そして、でもやっぱり、とまた、好きなことを探し始めます。

 一言でいえば、行き詰まり感が極まって、今の世界・状況ではどうしようもなく感じられて、もう一度『好き』の世界を信じてみたい、そういうことですよね。

 一つ質問ですが、
 その、好きかもしれないこと、どれくらい試してみました?
 人にもよるけれど、子供の頃のような見つかり方になるとは限りませんよ。

 だって、あの頃よりもきっと、
 心が疲れていたり、
 優先順位を上げていなかったり、
 純粋に入り口に立っていなかったり、
 他のことで心が煩わされていなかったり、
 自分で生活に目を配る必要があったり、
 つまり、
 シンプルに没頭するマインドの慣れが必要でしょう?

 そういうわけで、好きなこと、やりたいこと。
 突然ポンと見つけられる、そういうことを最初から期待しない方がいいです。とりあえず続けてみよう、それくらいに思っていた方がいい。
 
 今が苦しくて大変で嫌で、だから即好きなはずのことに飛び込んで後は没頭できます、とできるのならそれでいいと思いますが、それがデフォルトと考えてしまうと、今度はなかなかその境地に入っていけない自分に嫌気がさしてしまう。。
 人は人、自分は自分とは、こういう時に使うもので、まずは歯を食いしばったり、体にムチ打ったりせず、自然体でできる程度に『継続』してみる。

 とてもべたな提案ですが、頭の片隅にメモっておいていただければと思います。
 長く続いたものは、瞬間的に胸をときめかせるものほど短期のインパクトはないけれど、これから長く友達でいてくれるかもしれません。

 お読みいただきありがとうございました。