止まっていた“時”がもう一度流れ出しますように

中谷英貴です。

 普通に暮らしているように見えて、心の奥底に流れないまま固まってしまった“時”を抱えている方がいます。そんな“時”に住み着いていた時期を持っていた方は、実は少なくないのではないでしょうか。

 止まった“時”は、失った“想い”によって、心の中に固定され続けます。本当は決して失ったわけではないのですが、そう感じてしまうほど当たり前の存在が消えたショックが、そう感じさせます。
 肉親、恋人、伴侶、日常生活、安全、心と体の自由、信頼、信用…。
 その時の感情には、切なさ、残酷さ、胸を締め付けられる哀しみ、官能、美しさ、懐かしさ、怯え、などそれぞれあると思います。

 止まってしまった“時”には理由があります。肉体は時の流れの洗礼を受けますが、心はある時、ある場所、ある人との関係のまま、固まっていると、いつまでもそこから動こうとしません。その“時”をもう一度流れるようにしないと、そこから先へ進めない。

 やれることは、その時、その場にいた自分と邂逅することです。
 今は、遠ざけているのかもしれないし、無視しているのかもしれない。とても会うだけの勇気がないのかもしれないし、忌み嫌っているのかもしれない。
 ですが、そうやって生きてきて、行き詰っている、生きづらくなっているのではないでしょうか。

 もう一人のあなたが、根源的な意味であなたを傷つけることはありません。
 その時に戻って、その時の自分を感じて、しっかりと受け入れることを、行ってみて下さい。
 繰り返すうち、時がゆっくりと動き出します。
 かつてそこにあった想いが新しい記憶となって、今を生きるあなたを勇気づけてくれるようになります。

 お読みいただきありがとうございました。