壊れた家族から旅立つということ

中谷英貴です。

 紆余曲折、様々なことがあって、それでも社会人となって、自分の力で生きていこうとすると、自分の行動を妨げる様々な心のブロックに気づくようになります。
 大方は親との関係、親同士の関係の影響に端を発しているのでしょう。
 
 そんなことは、ほんとは子供の頃から気づいていた。
 でもどうしようもなかった。
 精一杯頑張った理由の中には、
 親を喜ばせるためもあったし
 生活能力的に親に従うしかないということもあった。
 そうすると親が救われると信じた人だっている。

 大人になってある年齢になった頃から感じ出した生きづらさの源には、あなたにしか理解できない理由があるはずです。
 そうやって生きることは、一歩引いてみれば、自分どころか、大切な誰かのためにもなっていないはずですが、それを絆と思って守り続けることが、苦しみながらも生き続けるあなたを支えていたという、メリットがありました。

 あなたは今、社会人として、選択する力を持っています。駆使してはいないかもしれないけれど、駆使する力は確実に持っています。そして、選択したことに沿って、自分を変えていくこともできます。
 それらは、本来、誰もが持つ可能性です。

 家族の中で培ってきた感性をもとに生きてきて、行き詰ってしまったあなたが次に選択するのは、かつて感じ取った良き思い出、ここまで生きて来ることができたことへの感謝、絶対的な弱者だった自分を庇護してくれた親への感謝、人と世の中を信頼する自分の能力、そして自分が大切であること、素敵であること、今ここにいることを信じることです。変えるべきところを変えていき、もっと素のあなた自身を受け入れていく必要があることだけは、間違いありません。

 そうやって、あなたは家族のもとを旅立ちます。
 旅立つとは、決して見放すことではありません。悪しきところがあったなら、それはその場に置いていき、素敵な思い出と感謝と信頼とを自らの内に内在化し、生きる原動力とすることです。繰り返しますが、それらを選択するだけの力を、あなたはすでに持っています。

 そうやって選択した時、きっと気づくと思います。
 これまで自分を支えてきた、あるいは苦しめてきた価値観と、かつて自分を庇護してくれた、そしてある種絶対的な存在だった親が、単なる幻影にすぎなかったことに。
 過去は怒りの対象でしかなかったと思っていたけれど、実は同時に自分が生きるときの基準の役割を果たし、心の拠り所にもしていたということに。
 そして、それがもう自分の心の中で遠い時間へ帰っていく時が来たのだというこに。
 
 たくさん泣けばいい。涙を流せばいい。
 哀しさと、懐かしさと、感謝と、怒りや憎しみもまた大切な人のつながりを示す感情だったという気付きと、多くのものを与えられていたのだという喜びと、それを当然どころかまだ不足していると思い込んでいた傲慢さと、申し訳なさと、そんな、とてもひとくくりにはできないような感情が涙という形をとってあふれ出て、とめどなくあふれてきます。

 やがて、その感情が落ち着いたとき、あなたは自分の選択によって生きていくことの心地よさにたどり着くはずです。

 年齢は関係ありません。
 性別ももちろん関係ありません。
 生い立ちも、境遇も、生活水準も関係ありません。

 ただ、自分を信頼するほどに、変化がすす、感謝と心地よい時間が体現されるようになります。

 お読みいただきありがとうございました。